グランドセフトオート シリーズを分かり安く解説

CEROの旧レーティング制度では「18歳以上対象」だったが、新レーティング制度で「Z(18歳以上のみ対象)」区分となり、18歳未満の青少年への販売を規制されている。

グランド・セフト・オートGrand Theft Auto)とは、米国Rockstar Games社が販売しているカークライムアクションゲームシリーズ、またその1作目のタイトルである。略称はGTA


2013年現在、全世界でシリーズ累計1億3400万本を出荷している記録を持つ(サードパーティ世界一)。


概要

開発元はスコットランドエディンバラにあるRockstar North(旧DMA Design)。


非常に自由度の高いゲームなのが特徴で、様々な組織の依頼を受けて過激な犯罪に手を染め名を上げていくというスタイルと、タイトルの「グランド・セフト・オート」=「重窃盗罪」の通り、あらゆる車を盗んでは乗り回すというアクションが軸。

シリーズが進化するにつれ、プレイヤーに与えられたアクションは、ドライブと銃撃戦に留まらず、空を飛んだり海上を進んだりといった行動範囲の拡大はもちろん、様々なスポーツやミニゲームに興じたり、キャラクターをカスタマイズしたり、スタントに挑戦したりと、どんどん多様になっていった。

現在では、リアルに再現された都市の中を自由に動き回る、オープンフィールドゲームの代表的作品として知られる。 


シリーズは『GTA1』~『2』までは俯瞰見下ろし型の2Dゲームであったが、『GTA3』以降は3Dアクションになった。

人気が爆発したのはPS2で発売された『GTA3』で、以降、新作が発売されるごとにゲームのセールス記録を更新し続け、ギネスワールドレコーズの常連となっている。

『GTA4』ではハリーポッター超えを果たし、『GTA5』に至っては3日間で2000万本を売り上げるという怪物的なセールスにまで達した(『CoD』シリーズや『FIFA』シリーズさえも抑えるほどの数字である)。 


自由度の高さ故に、数々の社会問題(VCのハイチ人訴訟問題、SAのHotCoffee等)を起こすことで知られている。日本でも有害図書に指定され、CEROによるZ区分(18歳未満購入禁止)が設けられる契機となったことで有名である。


シリーズの世界観

『GTA3』~『GTAVCS』と、『GTA4』~『GTA5』は、それぞれ世界観を共有している。

これら2つの時系列は別物であり、『GTA4』シリーズでは『GTA3』シリーズのキャラクターが看板やパッケージなどに登場していたりもするがこれらはあくまでファンサービスである。


なお、『GTA』と『GTA2』は、これら2つの世界観とは同一ではなく、それぞれが同じ世界なのかどうかもよくわかっていない。


『GTA3』シリーズ

1984年 『GTAVCS』 バイスシティ

1986年 『GTAVC』 バイスシティ

1992年 『GTASA』 サンアンドレアス

1996年 『GTALCS』 リバティーシティ

2001年 『GTA3』 リバティーシティ

発売は、『GTA3』→『GTAVC』→『GTASA』→『GTALCS』→『GTAVCS』の順。


現実世界と同年代の世界を描いた作品は『GTA3』のみである。

そのため、多くの作品では、劇中で流れる音楽や、劇中に登場する車のデザインが、かなり懐かしい古いものとなっていることが多い。


どん底の生活を送る男や、様々な権力に追い詰められた男が、裏切りや圧力に苦しめられながらも仲間を作り、やがて成功を掴んでその都市の頂点に立っていく、といったような、勧善懲悪では決してないもののダイナミックなサクセスストーリーが多い。 


GTA4シリーズ

2008年 『GTA4』 リバティーシティ

2008年 『GTA TLaD』 リバティーシティ

2008年 『GTA TBoGT』 リバティーシティ

2010年 『GTACW』 リバティーシティ

2013年 『GTA5』 ロスサントス(サンアンドレアス

HD対応ハードに進出してからは、それまでのシリーズから世界観が一新されている。

PS2時代とは比較にならないほど世界がリアルに構築されるようになり、都市のデザイン・構成も一新され、名前こそ一緒だが全く別の都市として生まれ変わっている。


街の権力者たちから見ればちっぽけな存在である主人公が、暴れまわった末に成功を手にしていく、という軸こそあまりブレていないものの、大団円とは言い切れない苦い結末を迎えるハードな雰囲気の物語が多くなっている。


『TLaD』と『TBoGT』は『GTA4』のダウンロードコンテンツである。

『GTACW』については、『GTA4』とは、同じ構成のリバティーシティを舞台にしているという以外に殆ど関わりがないが、『GTA4』の方でLCPDの犯罪者データベースにアクセスしてよく見てみると、『GTACW』の主人公ホァンをはじめとして多くのキャラクターの名前が登録されており、世界観が同一である可能性が強い。

ただ、劇中でホァンは「今は2010年だ」と発言している。ホァンが訪れたのは物語開始直前であるため、『GTA4』の時点、つまり2008年時点ではLCPDの犯罪者データベースに登録されていることはあり得ない、という矛盾が発生している。 


舞台

主に、『GTA』に収録された、アメリカの3都市をモデルにした架空の都市が舞台となっている。


3Dゲームになって以降は、ゲームの構造上、いずれも島となっている。


リバティーシティ

ニューヨークをモデルにした大都市。世界中の人種、もといギャングが集まっており、劇中ではおそらく世界最大の都市でありながら、あらゆる人種の移民が流入しそれぞれが大規模かつ悪質な犯罪組織を結成しているため、常に犯罪や抗争が絶えず、「アメリカ最悪の街」と呼ばれている。

今までに3つのタイプが登場しており、舞台となった数はシリーズ最多。 


GTA』に登場したものは、名前こそ違うものの、マップ全体の形は露骨にマンハッタン、ブルックリン、ジャージーシティそのものであった。


『GTA3』では、シリーズで最初に3Dで描かれ、世界に衝撃を与えた。「シェンムー」の影響も受けたという。人口は400万人という設定。

3つの島から構成されており、東からそれぞれ、ブルックリンをモデルにした工業地区「ポートランド」、マンハッタンをモデルにした商業地区「ストートン島」、ジャージーシティをモデルにした住居地区「ショアサイド・ベイル」となっている。

『GTA3』『GTALCS』に登場するが、いずれもハード初期の作品であるためか、3つの島を行き来するごとに読み込みが発生していた。あと水に落ちると問答無用で死ぬ。


『GTA4』では、HDハードにシリーズが進出してやはり最初に描かれた都市であり、より現実に近いスケールの、大迫力の高層ビルが立ち並ぶ大都市となった。

人口800万人で、やはり「アメリカ最悪の街」だが、今作では「チャンスの街」とも呼ばれているようだ。

4つの島で構成されており、東の島にはブルックリンをモデルにした「ブローカー」地区とクイーンズをモデルにした「デュークス」地区があり、その北の小さな島はブロンクスをモデルにした「ボーハン」地区、東の島の西側に隣接する島はマンハッタンをモデルにした「アルゴンキン」地区となっている。

もう1つ、西端の島は、正確にはリバティーシティではなく、隣の州である「オルダニー」である(モデルはニュージャージー州)。 

より現実のニューヨークに近い都市になっており、特にアルゴンキンの中心部などは、ブロードウェイと瓜二つだったりする。一方、オルダニーとアルゴンキンの間にあるハピネス島には、現実さながらに女神像が鎮座しているが、そのデザインがまるごと、かつて『GTASA』に抗議してきたヒラリー・クリントンへの嫌がらせになっていたりと、お遊びも多く盛り込まれている。


『GTACW』でも『GTA4』のリバティーシティが舞台になっているが、ハードの都合上オルダニーが丸ごと削除されている。


サンアンドレアス

アメリカ西海岸をモデルにした都市、というか地域。リバティーシティと違って温暖で、街中にも椰子の木が並ぶ。また、非常に坂が多い。

これをモデルにした作品は、ハード末期のものが多く技術的にも成熟期を迎えているため、都市のみならず山岳地帯や湖、砂漠地帯なども再現される。そのため、都市というよりは州そのものと言った方がいい。

名前の由来は、現実にアメリカ西海岸に存在する巨大断層「サンアンドレアス断層」。

やはり3つのタイプが登場している。 


GTA』に登場したサンアンドレアスは、やはり露骨に西海岸で、サンフランシスコ周辺を西側から見たマップとなっている。サンフランシスコ~オークランド~バークレー~リッチモンド~サンラフェルの辺りがモデルになっている。


『GTASA』では、形状は現実とはかけ離れているが、『GTAVC』の4倍という広大なマップで再現された。

ロサンゼルスをモデルにした「ロスサントス」、サンフランシスコをモデルにした「サンフィエロ」、ラスベガスをモデルにした「ラスベンチュラス」という3つの大都市が存在し、その間に広大な山岳地帯や砂漠地帯が広がっている。

シリーズで初めて広大な自然を描き、さらに大都市を3つ登場させるという圧倒的なスケールでプレイヤーを魅了した。しかもそれらの間を移動するのに読み込みが入らなくなった。


『GTA5』では、シリーズ最大、127平方キロメートルという巨大なマップで描かれている。

卵形の巨大な島で、大都市ロスサントスを抱える南部の「ロスサントス郡」と、巨大な塩湖、砂漠地帯、山岳地帯を抱える北部のド田舎「ブレイン郡」の2つで構成されている。 

登場する都市はロスサントスのみで「サンフィエロ」「ラスベンチュラス」は削除された。やはり『GTASA』のそれからはデザインが一新されており、『GTA4』のリバティーシティ(オルダニーを除く)とほぼ同等の広さの大都市となっている。

一応サンアンドレアス州であるようだが、劇中では州の名前までは殆ど登場しない。


バイスシティ

マイアミをモデルにしたリゾート都市。「堕落の街」という超ストレートな名前の通り、マフィアも警察も軍隊も腐敗しきった街である。

名前の由来の1つとして、人気ドラマ『マイアミ・バイス』がおそらく挙げられる。特にPS2以降の作品では、このドラマと同様に80年代が舞台になっているため、作品そのものがこのドラマを意識していることがわかる。

HDハードになってからは登場していない。『GTA4』でリバティーシティが再構築されたことを踏まえ、発売順的に次はバイスシティが再構築されるのではないかと予想したファンも多かったが、1つすっ飛ばしてサンアンドレアスが再構築されることになった。 


GTA』に登場したバイスシティは、やっぱり現実のマイアミそのままであった。


『GTAVC』では、人口180万人のリゾート都市となっている。

マイアミをモデルにした都市部である「東の島」、マイアミビーチをモデルにしたリゾート地区である「西の島」という巨大な縦長の2つの島で構成されており、それらの間に、巨大な邸宅が立ち並ぶ「スターフィッシュ島」「プローン島」という小さな2つの島がある。

やっぱり東の島と西の島の行き来には読み込みを要した。

また、『VCS』では泳げたが、『GTAVC』ではまだシステムが未成熟で、リゾート都市なのに水に落ちるとプレイヤーは死ぬようになっていた。 


その他

上に挙げた3都市以外が舞台になったことは『GTA3』以降ない。


GTA』の追加ミッションパックでは、1961年・1969年のロンドンが舞台となった。それまでも、名前が違っても明らかに実際の都市そのままの舞台が用意されていたが、実在の都市をそのまま舞台にしたのは今作が唯一であった。


日本要素

異彩を放つのは『GTA2』で、日本っぽい雰囲気の大都市が舞台となっている。この都市のみ、未だに正確な名前が発表されておらず、アメリカにあるという設定のみ判明しているが、モデルとなった都市がアメリカにあるとは考えられない。

「ザイバツ」という巨大組織の黒服が全域で暗躍しており、「船橋」「浅草」「広島」といった地名が登場し、「テリヤキちゃん」というよくわからないが日本人っぽいラジオDJが日本語でラジオ番組を放送していることから、日本を意識していることは明白である。

東京や大阪、香港、上海、ソウルのように無機質な高層ビルが乱立している都市の雰囲気は、アメリカの都市のそれとは明らかに違う。舞台の雰囲気を一新して全く違った都市を作るにあたり、ロックスターは一旦アメリカを離れ、アジア的な都市をモデルにしたと考えられる。


その後の作品でも、例えばGTA3ではヤクザ組織が登場したり、GTASAでは「キモノホテル」など日系と思しき商業施設が町並みを飾り、またバブルで儲けたと思しき日本語を話す通行人が登場したり、GTA4では一部のタクシードライバーが日本語を話すなど随所に日本要素が見られるが、シリーズを追うにつれて概して少なくなってきている。